今シーズンのイチゴの苗取りから収穫までの考察。これからは、日照不足は当たり前となる!

 今年は、10月の日照不足で実が小粒で収穫が早くなり、通販の出荷に追われて忙しい毎日です。
余るほどイチゴがあれば、通販も大した手間は必要ありません。
しかし、少ない量でお客様の様々なご要求(サイズ・品種・納期・熨斗の有無など)に対応するのに
日程のやりくりが大変です。基本的には、納期指定できないのですが、備考欄に希望納期が入っていると
対応しなければなりません。
 さて、今年の苗取りから収穫までを振り返って見ます。
1.苗取り
 7月上旬が例年より暑く、8月の日照不足により一部の地区では病気が多発したようです。
 当館は、病害虫が出ない画期的な苗取りを今年初めて実施しました。
 しかし、テストで好結果を得ていたのですが、量産では6〜7割の活着率になってしまいました。
 来年は、失敗を繰り返さないようにデーターや確認実験もしました。
2.夜冷処理から定植まで。
 新しくダイキンの冷房装置を購入したので、より夜冷処理が可能になりました。
 8月の日照不足は、想定の範囲だったので当館は無事に乗り切り、夜冷処理により計画通り
 9月15日頃に花芽分化を起こさせました。
 日照不足対策として、育苗ハウスを増設していたので、鉢広げをして日照不足をカバーできました。
3.定植から出蕾まで。
 今年の10月は、過去に例がないほどの日照不足でした。特に花芽分化から出来,開花までの
 10月13日から25日までは、1日の日照時間の平均が1.2時間と異常すぎる日照不足でした。
 前からもお客様には、ご説明しているのですが太陽の光は車のガソリンに相当します。
 ハウス(温室)でも太陽が照らない限りイチゴは生育しません。
 今年野菜が高いのも日照不足が原因です。
 良い苗を作っていた当館でさえ大きな影響を受けました。
 1.章姫の蕾が良くなく不受精になったり、小さな花になりました。一番影響を受けました。
  推定原因   章姫は、定植後まず葉が大きくなり、根が出てきて株が大きくなります。
         つまり、日照が少ないので葉が大きくなれず根が張れなかったと推定。
 2.紅ほっぺなどのアイベリー系統は、定植後すぐに根を出しその後葉を出します。影響が少ない。
  推定原因   このため、貯金を使って根を出すには、あまり日照不足が影響しなかったと推定。
 3.短日夜冷処理の苗は、一番重要な時期が13日から26日の日照不足にぶつかって不受精が多い。
         幸い、半短日夜冷処理の苗は、かろうじて一番日照の少ない時期を少し避けれた。
 4.いずれにしても、例年に比べれば、出来は良くありません。
 5.一般のイチゴ
   10月の日照不足で苗が大きくならず、花を除去したり、10月の日照不足で生育が遅れて
   収穫時期が大幅に遅れているようです。
   山梨のスーパーのイチゴのパックも最安値650円、最高値900円と品不足と価格の高騰。
 6.おそらく今年のクリスマスのケーキ屋さんはイチゴ不足困るでしょう。
   当館も21日頃からのケーキ用イチゴの出荷が始まりますが、大変です。
 これからの農業は、館長が前から述べているように異常気象に対応できるか出来ないかで
勝負が決まります。
1.8月・9月・10月の日照時間を見ると年々減少しています。
 (1)13年比17年は、77%と23%も減少。
 (2)8月から10月まででどこかの月の日照が極端に減少している。
2013年から2017年までの月当りの日照時間合計の比較。(時間/月)
 
13年
14年
15年
16年
17年
合計
年平均
7月
192
198
177
201
189
957
191
8月
234
136
174
200
147
889
178
9月
205
177
134
110
171
796
159
10月
129
179
231
137
116
792
158
合計
759
690
715
647
622
3434
687
1日当
8.3
7.6
7.9
7.1
6.8
37.7
7.5
13年基準
100
92
95
85
77
 
87
2.10月の日照時間比較。
 (1)17年は、日にち別にみると13日から25日までの2週間が1.2(時間/日)と極端に日照が少ない。
 (2)16年は、前半の12日までの日照時間が少なかった。
10月の1日当たりの日照時間比較
(H/日)
 
 
16年
17年
1〜12日
12日間
3.1
5.2
13〜25
13日間
5.5
1.2
26〜31
6日間
4.9
6
平均
 
4.4
3.7
3、収穫時期の12月の異常な寒さ。
 (1)寒さで生育や収穫時期が遅れる。
 (2)原油高騰の中暖房費がかかる。
 (3)この天候は、14年の12月の寒さと酷似してきている。この年は、翌年イチゴの
    大不作に見舞わられる。
 対策は、コスト高になっても仕方がないが、ドンドン暖房を焚きイチゴに寒さを感じさせないようにする。
結論
 1.当館は、今年追加でハウス(真田丸)を増設したことにより、8月の日照不足には対応できた。
 2.10月13日から25日までの日照不足は、苗を大きくしていたので被害を最小限に出来た。
 3.苗を短日夜冷処理と半短日夜冷処理に2分割しておいたので、半短日夜冷処理の方が被害が少なかった。
 4.今後もこのような極端な日照不足に対して、どのように対応するか勉強しなければならない。
 5.気象を小まめに把握して異常を感じたら、出来るだけの対策をする。さらに過去にさかのぼり
   失敗した経験を対策して生かす。
  

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA